Kii Cloud JavaScript SDKを使ってアカウント登録とログイン機能を実装する

本記事は、Kii Cloud JavaScript SDKを使ったサーバサイド実装不要のフロントエンド開発[準備編]の続編です。準備編では、新規アプリケーションの作成からKii CloudのJavaScript SDKの概要までをご紹介しました。今回は、アカウント登録とログイン機能の実装についてご紹介します。
※JavaScript SDKのv2.1.20から仮ユーザーの機能が追加され、アカウント登録をしない状態でもデータ操作が可能となったようです。

アカウント登録

アカウント登録やログイン機能の実装には、KiiUser オブジェクトを使います。ユーザー作成用のメソッドが1つ用意されているわけではなく、ユーザー名やメールアドレスなど、ユーザーの認証を行うIDの種類によって異なるメソッドが提供されています。

  • userWithUsername : ユーザー名、パスワード
  • userWithEmailAddressAndUsername : ユーザー名、パスワード、メールアドレス
  • userWithPhoneNumberAndUsername : ユーザー名、パスワード、電話番号
  • userWithEmailAddress : メールアドレス、パスワード
  • userWithPhoneNumber : 電話番号とパスワード

今回はユーザー名を使います。非同期処理をすっきり書くために、[準備編]でご紹介したオリジナルのユーティリティ関数kiiPromiseを利用します。

/*** ユーザー名とパスワードを使ってユーザーを作成する

*/function userWithUsername(username, password)
{ var d = $.Deferred();
 try 
{ 

// KiiUserオブジェクトを作成

var user = KiiUser.userWithUsername(username, password);

 }catch(e){ 
// userWithUsernameの引数に無効な値が渡された場合、Exception

が発生する。return d.reject(e.message); 
} 
// Kii Cloudに登録する

return kiiPromise(user.register, user); 
}

ユーザーを作成する際に、関数の引数に無効な値が渡された場合(例えば、パスワードに空文字列を設定するなど)Exceptionが発生するので、エラー処理が必要です。

var username = "hiromitsuuuuu";
var password = "xxxxx"; userWithUsername(username, password).
then(showSuccess, showError); function showSuccess(theUser)
{
// ユーザー作成成功} 
function showError(theUser, errorString)
{
// ユーザー作成失敗}

ユーザー作成が成功すると、データブラウザーのUsersに新規作成したユーザーが追加されます。

Display NameやCountryといった属性は、既定フィールドとしてあらかじめ定義されています。独自のフィールドを追加することもできます。独自フィールドはCustom AttributesとしてUser details内にJSON形式で表示されます。

ログイン

ログイン用のメソッドは、ユーザー作成ほど種類は多くありません。ユーザー作成時に指定したID(ユーザー名もしくはメールアドレス、電話番号)でログインするか、アクセストークンでログインするかを選択することができます。

  • authenticate : パスワードでのログイン
  • authenticateWithToken : アクセストークンでのログイン

アクセストークンを用いたログインを行うためには、ログイン成功後にアクセストークンをローカルストレージに保存しておく必要があります。以下はパスワードによるログインの例です。

/*** パスワードによるログイン

*/function authenticate(userIdentifier, password)
{ 
return kiiPromise(function (callbacks)

{KiiUser.authenticate(userIdentifier, password, callbacks)
;}); 
}
var userIdentifier = "hiromitsuuuuu";

var password = "xxxxx";

var storageId = "todoAppSample"; 

authenticate(userIdentifier, password).

then(function(user){

// アクセストークンをローカルストレージに保存しておく。

return saveAccessToken(user, storageId);}).

then(showSuccess, showError); 

/*** アクセストークンをローカルストレージに保存する

*/function saveAccessToken(user, storageId)
{ 
var d = $.Deferred(); 

// KiiUserオブジェクトからアクセストークンを取得

var token = user.getAccessToken(); 

// ローカルストレージに保存

localStorage.setItem(storageId, token); 

return d.resolve(user); 
}

ログイン後は、ローカルストレージに保存したアクセストークンを使います。このトークンはログアウト時やパスワードの変更時にローカルストレージから削除する必要があります。

まとめ

今回は、アプリケーション開発時に必要となる「アカウント登録」と「ログイン」機能の実装方法を、[準備編]でご紹介したオリジナルのユーティリティ関数kiiPromiseを使ってご紹介しました。次回は実際にデータを保存する際に使用する「オブジェクトの作成」について解説したいと思います。

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